建設業許可申請が必要なケース
建設業許可は、建設工事を請け負う際に、工事の種類や規模によって取得が義務付けられている許認可です。お客様が以下のような状況であれば、建設業許可の取得が必要です。
● 1件の請負代金が500万円(税込)以上の建設工事を請け負う場合
建築一式工事の場合は、1件の請負代金が1,500万円(税込)以上、または延べ床面積が150平方メートル以上の木造住宅工事を請け負う場合も該当します。
● 元請けとして、下請けに工事を発注する場合
2025年2月1日以降は、下請契約の総額が建築一式工事で8,000万円以上、その他の工事で5,000万円以上となる場合は、特定建設業許可が必要です。
● 公共工事の入札に参加したい場合
ほとんどの公共工事において、建設業許可の取得が参加要件となります。
● 銀行などから融資を受けたい場合
建設業許可を取得していることで、企業の信用力が高まり、融資を受けやすくなる場合があります。
● 会社の信用力を高めたい場合
建設業許可は、厳しい要件をクリアした企業にのみ与えられるため、取引先や顧客からの信頼獲得に繋がります。
建設業許可に関するご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
建設業許可申請:手続きの流れと成功のポイント
手続きの流れ(一般的なステップ)
取得する許可の種類を決める
一般建設業許可 vs 特定建設業許可: 請負金額によってどちらが必要か異なります。元請として1件の工事で下請けに出す金額が建築一式工事で8,000万円以上、その他の工事で5,000万円以上(2025年2月1日施行)になる場合は特定建設業許可が必要です。それ以外は一般建設業許可となります。
知事許可 vs 大臣許可: 営業所を1つの都道府県内にのみ設置する場合は知事許可、2つ以上の都道府県に設置する場合は大臣許可が必要です。
業種: 29種類の建設業種の中から、自社が請け負う工事の種類に応じて必要な業種を選びます。
建設業許可取得の要件を確認する
経営業務管理責任者(常勤役員等)の設置: 建設業の経営経験を持つ役員(または個人事業主、支配人)が必要です。
専任技術者の設置: 営業所ごとに、その業種に関する専門知識や実務経験を持つ技術者を常勤で配置する必要があります。
誠実性: 役員等が不正な行為や不誠実な行為を行うおそれがないこと。
財産的基礎:
一般建設業許可: 自己資本が500万円以上あること、または500万円以上の資金調達能力があること(残高証明書などで証明)。
特定建設業許可: 資本金の額が2,000万円以上、自己資本が4,000万円以上、欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと、流動比率が75%以上であること、という全ての要件を満たす必要があります。
営業所の設置: 外部から来客があり、請負契約の締結ができる実体のある営業所が必要です。電話、机、台帳などの設備、独立したスペース、使用権限、看板の掲示などが求められます。
欠格要件に該当しないこと: 過去に建設業法に違反したなどの欠格事由に該当しないこと。
社会保険への加入: 健康保険、厚生年金保険、雇用保険に加入していること。
許可申請のための書類を作成・収集する
多くの書類が必要となり、公的機関が発行する証明書と自社で作成する書類があります。
- 主な必要書類:
- 建設業許可申請書
- 工事経歴書
- 財務諸表(貸借対照表、損益計算書など。建設業法に定められた形式で作成)
- 経営業務管理責任者(常勤役員等)の経験を証明する書類(履歴事項全部証明書、確定申告書、契約書、入金通帳など)
- 専任技術者の資格や実務経験を証明する書類(資格合格証、卒業証明書、契約書、注文書など)
- 営業所の確認資料(写真、賃貸借契約書など)
- 各種証明書(登記されていないことの証明書、身分証明書、会社の登記簿謄本、納税証明書など)
- 定款(目的欄に取得する建設業種が明記されているか確認)
- 残高証明書(一般建設業許可の財産要件の場合。有効期限が短いので注意)
- 注意点: 各種証明書には有効期限があるため、申請時期に合わせて取得する必要があります。特に残高証明書は有効期限が短い場合が多いです。
許可行政庁に申請をして審査を受ける
申請先: 大臣許可は国土交通省の各地方整備局長へ、知事許可は各都道府県知事(建設業課や土木事務所など)へ提出します。
予備審査: 多くの行政庁では、申請書類の提出時に予備審査が行われます。書類に不備がないかその場で確認されます。不備があれば出直しが必要になることもあるため、事前の確認が重要です。
審査期間: 1ヶ月から3ヶ月程度かかりますが、混雑状況によって長引く可能性もあります。
建設業許可通知書を受けて申請完了
審査が通れば、許可通知書が送付され、晴れて建設業許可を取得できます。
許可取得の主要なポイント
要件の早期確認と準備:
申請に必要な「経営業務管理責任者」「専任技術者」「財産的基礎」などの要件を事前にしっかりと確認し、自社が満たしているかを把握することが最も重要です。
特に「経営業務管理責任者」の経験年数や「専任技術者」の資格・実務経験の証明は時間を要する場合があるため、早めに着手しましょう。
書類の正確性と完璧な準備
建設業許可申請は膨大な書類が必要であり、その内容の正確性が厳しく求められます。わずかな記載ミスや添付書類の漏れでも、審査が滞ったり不許可になったりする可能性があります。
財務諸表は、通常の決算報告とは異なる建設業法で定められた形式で作成する必要があるため注意が必要です。
証明書の有効期限を意識し、期限切れにならないように計画的に取得しましょう。
スケジュール管理の徹底
申請書類の収集や作成、行政庁での審査には時間がかかります。特に、決算期や繁忙期などを考慮し、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
例えば、会社設立と同時に許可取得を目指す場合は、資本金の額や定款の目的欄など、設立段階から許可要件を意識しておくことが成功への近道です。
法令遵守の姿勢
許可取得後も、提出期限を守った決算報告(建設業変更届出書)や、各種変更届の提出など、法令遵守を徹底することが重要です。
日頃から適正な事業運営を行うことが、許可の維持・更新にも繋がります。

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